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スポーツ観戦再開もコロナ感染は再燃
エンディングノートと尊厳死を考える

2020年7月18日Jリーグは観客数5000人上限で各地で試合を行いました。一方で東京都のコロナ感染者は300人超えは免れましたが、感染拡大は再燃かと言われています。
コロナに関しては、空気感染の可能性を排除できないとか、抗体が持続する期間が短いのではないかとか、不安な情報が行き交っています。
このような不安な中で、何を準備していいかわからないときに、とてもよくまとまっているのが「エンディングノート」です。

今回は、「エンディングノート」と「尊厳死」について感じたことをお伝えしたいと思います。

目次

市販のエンディングノートは充実している

私の一人暮らしのおばが認知症が近いなあと思ったときに、市販の「自分史年表+エンディングノート」(K&Bパブリッシャーズ)を買いました。
一度会ったときに、アルバムを見せられ「若いときはいい女だったろう」と自慢されました。それで自分史があったほうがいいかなと思ったからです。しかし、渡しそびれたまま介護施設に入りました。

エンディングノートとは、高齢者が人生の終末期に迎える死に備えて、自身の希望を書き留めておくノートです。
いろいろな内容を書き留めることができるようです。
それでは、「エンディングノート」にはどんなものがあるでしょうか。

共通する項目と各種の工夫

市販されているエンディングノートは、書き込み式の出版物になっていて、内容をよくみると、共通する項目と各出版社で工夫する内容があるように思われます。

書き込む共通する項目は、次のとおりです。
 自分のこと、家族のこと、友人のこと
 預貯金や財産、お金に関わること
 健康・医療などに関すること
 葬儀・お墓に関すること
 伝えたいメッセ-ジ

各出版社の工夫
 自分史年表
 これからやりたいこと
 断捨離
 解説・コラム・読み物
 意思表示カード

いずれにしましても、自分で手にとってみて、書きやすいものを選ぶのがいいでしょう。もちろん、WORDやEXCELなどで、自分で作ってしまう方法もあると思います。


遺言との違い

では、行政書士がおすすめする民法の「遺言」とはどう違うのでしょうか?
 ずばり、「エンディングノート」には法的効力がない点が一番大きいです。書かれたことを参考にするか、実行するか、というのが、それを見た人の判断に任されるのです。
 形式や内容が自由です。何をどのような方法で書いてもいいわけです。
 使用する場面が自由です。遺言は死後実行されるのに対して、「エンディングノート」は生前から自分の備忘録として使用してもかまいません。いろいろと忘れてしまうおそれがありますから。
また、病気になったときのために、家族に知っておいてほしいことを書いてもいいわけです。

告知・終末医療について

「エンディングノート」の項目には、病気になったときに家族に知っておいてほしい内容の中に、「告知・終末医療」に関することがあります。内容は次のようなものです。
1. 告知:重病になったときに、病名や余命を家族が知ることになった場合に、自分に告知してほしいかどうかをあらかじめ書いておきます。また、余命宣告を受けたときに伝えたいことも書くといいです。
2. ホスピス:「ホスピス」というと、「死にゆく人が最後に苦痛無く、穏やかに過ごす場所」というイメージが強い印象があります。「ホスピス病棟」などといます。その治療を望むかどうかを書き入れることになります。この治療には差額ベッド代がかかります。
しかし、最近では、病棟の名称というよりは、治療法である「緩和ケア」という概念にかわりつつあるようです。「在宅緩和ケア」というのもあるようです。医療も進歩しますから、よく確認したほうがいいですね。
3. 延命治療と尊厳死:一般に延命だけの治療を「延命治療」といい、「延命治療」を望まないことを宣言することを「尊厳死宣言」といいます。病気を治すための治療に対して、命を延ばすためだけの「延命治療」を望まない宣言というわけです。

詳しくは、公益財団法人日本尊厳死協会のサイトがあります。

4.臓器提供・献体:脳死後または心肺停止後に臓器を提供する意思表示と、死後に解剖に提供する献体の意思表示の欄があります。いずれも、正式には、登録することができます。


尊厳死宣言公正証書を考えてみよう

それでは、私たち行政書士がお手伝いできる「尊厳死宣言公正証書」について考えてみましょう。

尊厳死宣言公正証書とは

尊厳死宣言を「エンディングノート」に書いたとしても、法的効力がありません。また、死後に効力が生じる「遺言」にもなじみません。そこで、行われているのが「尊厳死宣言公正証書」です。単なる「安楽死」は殺人罪に問われる可能性があります。
そこで、医師が訴追されることのないように、考えられたのが「尊厳死宣言公正証書」です。

事実実験公正証書

公証役場にいる公務員である公証人は五感の作用により直接体験した事実に基づいて公正証書を作成することができ、これを「事実実験公正証書」といいます。この「事実実験公正証書」には裁判での証明力があります。
「尊厳死宣言公正証書」は、この「事実実験公正証書」の一種で、本人が公証人の前で意思表示をして、公証人が確認して作成する形になります。
本人が延命治療を望まないという意思が本意であることを公証人が確認し、これを証明する文書を作成するわけです。

尊厳死の条件

公正証書に盛り込む内容になりますが、法的に形式が定められている制度ではないので、よく公証人と相談して内容を決めることになります。一般には、「不治」と「末期」を条件にすることが多いようです。
その条件の病状になったかどうかの判断を「医師2名以上の診断」で行うように盛り込みます。

その他の内容

「尊厳死宣言公正証書」の「尊厳死の条件」以外の内容としては、「行わない延命治療の内容」「家族の同意」「刑事訴追等の回避」「任意性」が考えられます。
「延命治療の内容」苦痛緩和治療を認容するかどうかは判断が分かれるところです。含めるのであれば、「一切の治療」を行わないと表現することになります。
「家族の同意」家族の同意を得ておき、それを記述すると、あとが円滑になります。
「刑事訴追等の回避」捜査機関への要望です。
「任意性」強制された意思表示でなないことを念のため書いておきます。
これらは、自由な形式で作成することができますが、あくまでも公正証書として公証人に作成してもらう内容です。

まずはお問合せください

コロナ再燃という不安が出てきました。終末への備えとして、「エンディングノート」が一つの有力な手段であることがおわかりいただけたと思います。また、尊厳死宣言というものには、「尊厳死宣言公正証書」が有効であることもご理解いただけたと思います。

いずれにしましても、不安な状況が続くなかで準備が欠かせいようです。

まずはお問合せください。より良い人生のために、相続・終活のお手伝いをいたします。

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