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ワクチン接種は総力戦
相続人の欠格と廃除について

2021年1月24日、政府が新型コロナウイルスのワクチン接種を円滑に進めるため、新たな情報連携システムを構築し、自治体間での接種情報の共有を検討していることが、分かりました。ワクチンは一定間隔で2回接種する必要があり、ファイザー製の場合、3週間後に再度接種しなければなりません。ファイザー社のワクチンはマイナス75度での超低温冷凍による保管と解凍後5日以内の使用が求められる上、全国民を対象にするような集団接種は数十年ぶりで、史上最大規模のワクチン接種作戦になります。政府の力が問われますね。

この季節に注意が必要なのが、寒暖差疲労だそうです。自律神経が乱れ、冷えや肩こり、不眠になるそうです。私も寒いところへ行くと、体中の筋肉がこわばった気がします。温熱グッズが有効ですが、体を暖める根菜類もいいようです。

今回は、相続にまつわる問題の中で、相続人の調査に続いて、欠格と廃除について考えてみようと思います。

目次

相続人の欠格と廃除とは

今回は相続人を確定するところで、相続人の調査に続いて、欠格と廃除です。
相続欠格は、相続において特定の相続人につき民法891条に規定される事由(相続欠格事由)が認められる場合に、その者の相続権を失わせる制度です。
相続の廃除は、被相続人が、民法892条の定めるところにより相続権を持つ人間に著しい非行の事実がある場合に、家庭裁判所に「推定相続人廃除審判申立て」をすることにより推定相続人の持っている遺留分を含む相続権を剥奪する制度です。

相続人になることができない者がいるときは?

たとえば遺言書を改ざんした相続人がいたとします。
これは欠格事由5号にあたり、相続することはできません。
欠格事由は以下のとおりです。
1.故意に被相続人、先順位・同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者(民法891条1号)
 「故意」とは、殺人の故意を指します。「刑に処せられた者」が要件であるため、執行猶予付きの有罪判決において執行猶予が満了した場合や実刑判決が確定する前に死亡した場合は欠格事由にあたりません。
2.被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者(民法891条2号本文)
 是非の弁別のない者の場合又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であった場合を除きます。
3.詐欺・強迫により、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更することを妨げた者(民法891条3号)
4.詐欺・強迫により、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更させた者(民法891条4号)
5.相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者(民法891条5号)

欠格の効果は、当然に発生します。特に手続きは不要です。


欠格かどうか争われるときは?

相続欠格事由確定の訴えを起します。
通常の民事訴訟です。相続権存否確認請求事件、遺言無効確認請求事件、相続登記抹消登記請求事件等があります。
家庭裁判所の遺産分割審判手続きにおいても、欠格事由の有無を審判の対象とできます。
欠格者を除外して相続登記を申請する場合は、判決書を添付するか、相続欠格証明書を添付します。相続欠格証明書は、法務局に作成してもらいます。

財産を相続させたくない相続人がいるときは?

たとえば、被相続人の財産を勝手に使ったり、虐待するような相続人には相続させたくないですよね。こういう場合は、廃除にします。
家庭裁判所に「推定相続人廃除の審判」を申し立てます。

1. 被相続人に対して虐待をしたとき
2. これに重大な侮辱を加えたとき
3. 推定相続人にその他の著しい非行があったとき
被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます。

廃除の対象となるのは「遺留分を有する推定相続人」です。兄弟姉妹は遺留分を有さないので、廃除の対象にはなりません。

推定相続人の廃除は、被相続人が家庭裁判所に請求することで行うほか、遺言によって行うこともできます(893条)。また、被相続人は廃除の取消しをいつでも家庭裁判所に請求できます(894条)。

申し立て後、審判が確定する前に相続が開始した場合、混乱を防止するため、家庭裁判所は遺産管理人の選任その他遺産の管理に関する処分を命ずることができます。
「遺産管理人選任の審判申立書」
審判が確定すると、被廃除者は、直ちに相続権を失います。
遺産管理人も不要になります。申し立てまたは職権で取り消します。
「遺産管理人選任処分の取消審判申立書」
審判が確定すると、書記官は戸籍事務管掌者に通知します。
申立人は、被廃除者の本籍地または届出人の所在地に廃除の届出をしなければ、なりません。相続の廃除をされた者の戸籍には、その旨が記載されます。
「推定相続人廃除届」

遺言に廃除の意思表示があったときは?

遺言執行者は、遺言の効力発生後、遅滞なく、家庭裁判所に廃除の審判を申し立てなければなりません。あとの手続きは同じです。

廃除を取り消したいときは?

たとえば、廃除された推定相続人がまじめになり、廃除を取り消したいときは、取消しの審判を申し立てます。
「推定相続人廃除の取消審判申立書」
廃除事由の有無は問わず、被相続人はいつでも取消しを申し立てることができます。
被相続人の真意に基づくものであることが確認された場合、審判がなされます。
取消審判が確定すると、廃除を取り消された者は、推定相続人の地位を回復します。

推定相続人の廃除又はその取消しの請求があった後その審判が確定する前に相続が開始したときは、家庭裁判所は、親族、利害関係人又は検察官の請求によって、遺産の管理について必要な処分を命ずることができます。推定相続人の廃除の遺言があったときも、同様です。
「遺産管理人選任の審判申立書」

審判が確定すると、書記官は戸籍事務管掌者に通知します。
申立人は、被廃除者の本籍地または届出人の所在地に廃除取消の届出をしなければなりません。相続の廃除を取消された者の戸籍には、その旨が記載されます。
「推定相続人廃除取消届」

遺言により廃除を取り消すときは?

遺言執行者は、遺言の効力発生後、遅滞なく、家庭裁判所に廃除取消の審判を申し立てなければなりません。あとの手続きは同じです。

まずはお問合せください

政府は、新たな情報連携システムを構築し、自治体間の接種情報の共有を検討していることが、分かりました。史上最大のワクチン接種作戦がんばってほしいです。
この季節は寒暖差疲労に注意しましょう。

今回は、相続人確定の中で、欠格と廃除についておわかりいただけたと思います。

いずれにしましても、不安な状況が続くなかで準備が欠かせないようです。

まずはお問合せください。より良い人生のために、相続・終活のお手伝いをいたします。


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