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RCEPに署名
遺言(最終回)について

2020年11月15日、地域的な包括的経済連携(RCEP)交渉の首脳会合が行われ、15か国で協定に署名されました。中韓とは初の自由貿易協定であり、世界の3割の経済圏が誕生しました。関税の91%が撤廃されます。紹興酒、マッコリ、マツタケなどが安くなるそうです。

新型コロナはいよいよ第三波です。気温が最も下がる1月がピークになるとの見方もあります。会食の夫から家族へというパターンがあるそうです。第二波に比べ中高年も目立つようです。寒くなりますがしっかり換気しましょう。IOC会長バッハさんが来日してますが、オリンピックもどうなるか、不安ですね。GO TO イートは結局利用できませんでした。

今回は、相続にまつわる問題の中で、遺言(最終回)について考えてみようと思います。

目次

遺言の最終回

当ブログでは、遺言について
第一回で「遺言の制度概要と種類」  第二回で「各遺言種類の詳細」
第三回で「遺言の効力、撤回、検認、保管」  最終回で「遺言の執行」
というように、分けて紹介していこうと思います。
今回は最終回です。
第一回と第二回で遺言の種類を紹介しました。
第三回は、遺言の効力、撤回、検認制度、保管など、どの遺言にも特有の問題点について紹介しました。第四回は、遺言の執行です。

遺言の執行

遺言は、遺言に書いただけで相続開始とともに効力が発生するものと、執行が必要なものがあります。
・すぐに効力が発生するもの
  未成年後見人の指定、遺産分割方法の指定、相続人間の担保責任の指定、
・執行が必要なもの
① 遺言による認知・・・戸籍の届出
就職した日から10日以内に届け出る必要があります。
② 遺言による廃除・・・家庭裁判所に廃除の申し立て
③ 遺言の内容の実現
④ 一般社団法人設立の定款作成・・・定款に署名または記名押印

遺言執行者の資格

遺言は相続人でも法人でもなれるとされます。
欠格は、未成年と破産者だけです。


(遺言執行者の欠格事由)
第千九条 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

遺言執行者がふさわしくない場合には、利害関係人が解任を請求できます。
(遺言執行者の解任及び辞任)
第千十九条 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。
2 遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

複数の遺言執行者の場合は、保存行為以外は過半数で決します。
(遺言執行者が数人ある場合の任務の執行)
第千十七条 遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

遺言執行者の指定・解任

遺言で、遺言執行者を指定することができます。
生前処分で遺言執行者を指定することはできません。
遺言で、遺言執行者の選任を第三者に委託することもできます。

遺言執行者として指定、選任された方は、就任を拒否することもできます。
実務では、「遺言執行者の就職の諾否に関する催告書」があります。

遺言で書いていない場合や、遺言執行者がいなくなった場合には、利害関係人は家庭裁判所に遺言執行者の選任を請求することができます。
実務では、「遺言執行者選任審判申立書」です。

家庭裁判所は不要と判断して、請求を却下することもできます。
家庭裁判所から選任された場合も、就任を拒否することはできます。
遺言執行者は、ただちに任務を開始する義務があり、また、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知する義務があります。
(遺言執行者の任務の開始)
第千七条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。


遺言執行者の職務内容

遺言執行者は遺言の内容を実現するのが職務です。
遺言の内容に反対の相続人もいるかもしれませんが、遺言の実現であり、
相続人の利益のためとか、相続人の意思を実現するためとか、ではありません。

では、相続人との関係はどうでしょうか?
被相続人はすでに死亡していますので、相続人に対して義務が生じます。
委任に関する規定が準用されます。

遺言執行者が弁護士の場合で、特定の相続人の代理をする行為は、利益相反行為とされるおそれがあります。

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
3 第六百四十四条、第六百四十五条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

644条 善管注意義務
645条 報告義務
646条 引渡し・移転義務
647条 金銭消費責任
650条 費用償還請求権・代位弁済請求権

遺言執行者には、財産目録作成・交付義務があります。


(相続財産の目録の作成)
第千十一条 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。


遺言執行者は、復任することもできます。

(遺言執行者の復任権)
第千十六条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

遺言執行者は報酬をもらうことができます。
遺言に書かれていない場合は、家庭裁判所に定めることを請求することができます。
実務では、「遺言執行者の報酬付与審判申立書」です。
報酬額は、弁護士会の旧弁護士報酬会規が参考になります。

(遺言執行者の報酬)
第千十八条 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
2 第六百四十八条第二項及び第三項並びに第六百四十八条の二の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。

遺言執行者の権限

遺言執行者の権限の内容と範囲が問題になることがあります。
遺言の内容を裁量で変えることはできませんが、遺言に書いてないような状態が生じて、遺言の実現のために必要な行為が求められることもあります。

① 相続財産の管理
② 遺言の執行の妨害の廃除
③ その他遺言の執行に必要な一切の行為

訴訟追行権

遺言執行者には、訴訟追行権もあるとされます。
遺言執行に関する事件について、自己の名において、原告または被告となることができます。

遺贈

特定遺贈の場合、相続人が遺贈義務者ですが、遺言執行者がいる場合は、遺言執行者のみが執行できます。
不特定物遺贈の場合、遺言執行者が、不特定物を引き渡します。

遺贈で遺言が執行され受遺者に登記が移っている場合に、相続人が登記抹消手続きを求める場合は、すでに遺言執行が終了しているので、受遺者を被告とすべきとされます。

効果の帰属

遺言執行者が、その権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力が生じます。

(遺言執行者の行為の効果)
第千十五条 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。


遺言執行者がある場合に、相続人が遺言の執行を妨げる行為をした場合は、無効ですが第三者に対抗できません。また、この場合でも相続債権者または相続人債権者は、権利を行使できます。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。

解任・辞任

遺言執行者の解任や辞任はどんな場合でもできるわけではありません。
正当な事由が必要です。正当な事由とはなんでしょうか?
遺言執行者の作為・不作為で、遺言の公正な実現が期待できない状況です。

正当な事由があるときは、家庭裁判所に解任を請求でき、また家庭裁判所の許可で辞任ができます。
実務では、「遺言執行者解任審判申立書」「遺言執行者辞任許可審判申立書」です。

(遺言執行者の解任及び辞任)
第千十九条 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。
2 遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

遺言執行費用の負担

遺言の執行に要する費用は相続財産の負担です。
遺留分を減ずることはできません。
実務としては、相続人間で負担争いが生じるおそれがありますので、費用をあらかじめ預かり、あとで精算するほうが賢明です。


(遺言の執行に関する費用の負担)
第千二十一条 遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。

遺産分割時には、遺言執行費用を控除した額を分割することになります。

まずはお問合せください

地域的な包括的経済連携(RCEP)が署名されました。世界の3割の経済圏だそうです。新型コロナ感染は第三波です。寒いけど換気しましょう。

遺言の執行がおわかりいただけたと思います。

遺言をする場合は、遺言執行者を指定したほうがよさそうですね。

いずれにしましても、不安な状況が続くなかで準備が欠かせないようです。

まずはお問合せください。より良い人生のために、相続・終活のお手伝いをいたします。

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