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コロナ国内重症者323人
遺贈(前半)について

2020年11月21日、新型コロナの国内重症者数が323人となり、過去最多の328人(4/30)に迫りました。病床使用率は、高い順に、兵庫44%、大阪41%、北海道38%、埼玉37%、沖縄35%、愛知33%、東京33%、奈良28%、岡山26%、がステージ3の指標25%を超えました。単なる感染者の拡大ではなく、重症者、死者も増加傾向なのが気になります。

GO TO は一時停止です。やはり、感染拡大に影響がないとはいいきれないでしょう。ワクチンのめどが立つまでは、まだまだ我慢が続きそうです。

各スポーツは大詰めです。本割で負けた貴景勝は優勝決定戦で勝ったあと、無心という言葉を残しました。「暗黙知」の結集した瞬間ですね。川崎フロンターレも固くなって考えすぎては攻撃サッカーが停滞してしまいます。初心に返って、無心でお願いします。

今回は、相続にまつわる問題の中で、遺贈(前半)について考えてみようと思います。

目次

遺贈とは

遺贈は、遺言で行う財産の処分行為です。贈与かと思うとちょっと違います。
遺贈に対し、「死因贈与」と呼ばれるものがあります。こちらは、死後における財産の処分である点は同じですが、死亡によって効力が生じる停止条件付き贈与契約になります。
遺贈は単独行為であり、贈与契約ではありません。
民法の遺贈に関する規定(964,965、986~1003)が適用されます。

(包括遺贈及び特定遺贈)
第964条
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。

特定遺贈

特定の名義の遺贈です。
特定物に限らず、不特定物でもかまいません。
「特定の不動産を〇〇に譲る」も「金100万円を〇〇に譲る」も特定遺贈です。
所有権に限らず、地上権、担保権の設定も含まれます。

包括遺贈

1. 意味
包括遺贈は、遺言で遺産の全部又は一定割合で示された一部を処分する行為です。
「〇〇に財産全部を譲る」とか「〇〇に財産の3分の1を譲る」というのが包括遺贈です。
それぞれ全部包括遺贈、割合的包括遺贈といいます。
2. 受遺者
この場合、遺贈を受ける者を包括受遺者といいます。相続人と同一の権利義務を有すると規程されています。

(包括受遺者の権利義務)
第990条
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

この規程の意味は、積極財産と消極財産を含めて包括的に受遺者に移転するという意味で相続人と同一であるとされています。
915~919条の単純承認や放棄もできます。986~989条は適用されません。
3. 相続人との違い
(1) 法人は包括受遺者になることができます。
(2) 代襲制度はありません。
(3) 包括受遺者に遺留分権はありません。
(4) 他の放棄があっても増加しません。
(5) 対抗要件として登記が必要です。

4. 共同相続人が包括受遺者の場合
 共同相続人が包括受遺者である場合、相続分の指定なのか、包括的遺贈なのかが問題になる可能性があります。
 遺言で「譲る」と書くか、「相続させる」と書くかで異なってきます。
「相続させる」は、判例で遺贈ではないとされていましたが、改正民法で明記されました。

(特定財産に関する遺言の執行)
第1014条
1 前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
4 前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(共同相続における権利の承継の対抗要件)
第899条の2
1 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

遺贈と条件

遺贈にはさまさまな条件を付けることができます。

① 停止条件・解除条件
② 補充遺贈と裾分け遺贈
③ 後継ぎ遺贈

停止条件・解除条件

停止条件も解除条件も付けることができます。
始期付きも終期付きもできます。


補充遺贈・裾分け遺贈

補充遺贈は、「〇〇に譲るが断ったときは、△△に譲る」のような形式です。
第二の△△への遺贈は停止条件付遺贈です。
裾分け遺贈は、「〇〇に譲るが、〇〇はその中から△△に与えよ」という形式です。
裾分け遺贈は負担付き遺贈の一種です。
どちらも有効です。

後継ぎ遺贈

遺言の効力が発生したあとに受遺者が死亡した場合に、その相続人ではない人に与える遺贈です。
第一次遺贈は死亡を終期とする終期付遺贈とされます。
第二次遺贈は一次受遺者の死亡を始期とする始期付遺贈です。
特に第二次遺贈は、第一次受遺者には相続人がいることが想定されますので、その関係が問題になります。
ということで、後継ぎ遺贈を無効とする学説が有力です。

しかし、判例は無効とはしていません。
本件遺言書による甲に対する遺贈につき、遺贈の目的の一部である本件不動産の所有権を、丙に対して移転するべき債務を甲に負担させた負担付遺贈(中略)と解する余地もある(最判昭和58.3.18判時1075-115)

一方、平成18年信託法が改正され、「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」ができました。これによれば、将来に亘り、第一次、第二次、第三次、・・・と自己所有財産の帰趨を決することができます。

(受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例)
第九十一条 受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで、又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。

負担付遺贈

負担付遺贈は、受遺者に一定の行為を負担させることを内容とした遺贈です。
負担の額が遺贈の額を上回るときは、遺贈対象の額を上限として、受遺者は責務をおいます。

(負担付遺贈)
第1002条
負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


民法には、負担を実行しない場合も規程されています。
相続人が催告をして、なお実行しない場合は、家庭裁判所に遺言の取り消しを請求することができます。
実務的には、「催告書」と「負担付遺贈遺言の取消審判申立書」です。

(負担付遺贈に係る遺言の取消し)
第1027条
負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

まずはお問合せください

新型コロナの国内重症者数が323人となり、過去最多の328人(4/30)に迫りました。GO TO は一時停止です。ワクチンのめどが立つまでは、まだまだ我慢が続きそうです。

遺贈について概要がおわかりいただけたと思います。放棄などについては次回遺贈(後半)になります。


いずれにしましても、不安な状況が続くなかで準備が欠かせないようです。

まずはお問合せください。より良い人生のために、相続・終活のお手伝いをいたします。

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