蔓延防止を3府県6市で適用
特別受益・寄与分・遺留分について
2021年4月5日、新型コロナの拡大を受け、緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」が、大阪、兵庫、宮城の3府県の計6市で適用されます。5月5日までの31日間にわたり、飲食店などに午後8時までの営業短縮要請が行われます。大阪では「見回り隊」を組織し、約6万軒ある飲食店の調査を開始します。要請に従わない場合は、命令となり、20万円以下の過料を科すこともできるそうです。賛否両論でそうですね。ワクチンを早くしないと、変異株が猛威をふるってしまうかもしれません。戦時中は「ほしがりません勝つまでは」でしたが、「油断しません。ワクチン打つまでは」といったところですね。
高齢者接種分は、5日以降配送され、12日から65歳以上の高齢者およそ3600万人を対象に接種が始まります。今月26日の週にはすべての市町村に配送し、6月末までには対象の高齢者全員に2回ずつ接種できる量を供給できる見通しだそうです。
ネット通販のトラブルに関する相談が2020年、過去5年で最多だそうで、特に悪質なのが「お試し商法」で、「巣ごもり需要」が背景とみられます。「お試し送料込み100円」の広告を見かけて申し込むと商品が届いたが、よく確認すると定期購入契約で、解約手続きは「電話のみ」とされ、つながらないそうです。こうした悪質なお試し商法には「回数縛り型」「違約金型」「解約困難型」の3種類があるそうです。いい話には気をつけましょう。
競泳の日本選手権、女子100バタの決勝で白血病から復帰した池江璃花子選手が57秒77で優勝し、メドレーの東京オリンピック派遣標準記録を突破し代表に内定しました。池江選手は「ただいま」とつぶやいて、スタート台へ向かったそうです。日本中に勇気をあたえますね。
今回は、相続にまつわる問題の中で、遺産分割に続いて、特別受益・寄与分・遺留分について考えてみようと思います。
目次
- ○ 特別受益・寄与分・遺留分とは
- ・遺産分割協議に際し、特別受益者がいるときは?
- ・相続させる遺言により一部承継する者がいるときは?
- ・寄与分を定める協議を行ったときは?
- ・特別寄与分として金銭を請求したいときは?
- ・遺留分を放棄したいときは?
- ・遺留分の侵害額を請求したいときは?
- ○ まずはお問合せください
特別受益・寄与分・遺留分とは
前回は「遺産分割協議書」に続き、「遺産分割協議書」がまとまらない場合の調停・審判について考えました。今回は、遺産分割に影響を与える特別受益・寄与分・遺留分についてです。
「特別受益」とは(2020/9/14ブログ参照)
共同相続人の中に、贈与や遺贈を受けた人がいる場合の計算方法です。相続財産にその贈与を加えたものが、「みなし相続財産」となります。特別受益を受けた相続人については、特別受益額を控除し、残額を「具体的相続分」とします。
寄与分とは(2020/9/21ブログ参照)
寄与分とは、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者に与えられる持分のことです。「労務提供型」「財産出資型」「療養看護型」「扶養型」「財産管理型」などがあります。
遺留分とは(2020/12/7ブログ参照)
遺留分は遺言の内容にかかわらず、相続人に対して遺産の一定の割合を取得できることを保証する制度です。
遺産分割協議に際し、特別受益者がいるときは?
例えば、共同相続人の中に、生前に多額の現金をもらっていて、特別受益者に該当し、遺産分割協議では、相続を主張しないことがあります。
この場合で特別受益者ではない相続人が遺産の相続登記をするときに、「遺産分割協議書」ではなく、特別受益者による「相続分のないことの証明書」を作成し、登記手続をすることが可能です。
「相続分のないことの証明書」
特別受益者の実印で作成します。
相続させる遺言により一部承継する者がいるときは?
例えば、相続させる遺言により、長男が法定相続分を超える遺産を承継する場合に、残りの遺産の分割に長男を参加させるべきかが問題になります。
この場合、残りの遺産を承継しない長男にも、遺産分割協議には参加してもらいます。
遺産分割協議書には「長男は遺産を取得しない」などと明記します。
長男が参加してくれない場合は、調停を申し立てます。
寄与分を定める協議を行ったときは?
例えば、長年にわたり父の介護をしたことを「寄与分」として認めた協議がまとまり、遺産分割協議書を作成することになりました。こういう場合は、相続人全員で遺産分割協議書を作成し、寄与分を明記します。「寄与分を金●●●円と定める。」などと記載します。
協議が整わないときは、調停を申し立てます。
「遺産分割調停申立書」
「寄与分を定める調停申立書」
特別寄与分として金銭を請求したいときは?
民法改正により、金銭による特別寄与分の請求が可能になっています。
(特別の寄与)
第1050条
1.被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
2.前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。
3.前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。
4.特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
5.相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。
特別受益者が「特別寄与料」を請求しても、まとまらないことがあります。
この場合には、調停を申し立てることができます。
「特別の寄与に関する処分調停申立書」
遺留分を放棄したいときは?
生前と相続開始後とに分けて考えることができます。
生前の遺留分の放棄には、裁判所の許可が必要です。
放棄者の意思に反して行われることなどを考慮した制度と思われます。
裁判所では、放棄者の意思の確認だけでなく、放棄の合理的な理由があるかどうかも判断されます。
「遺留分放棄の許可審判申立書」
相続開始後の遺留分の放棄は自由です。
特に手続もありません。
「遺留分放棄書」
遺留分の侵害額を請求したいときは?
遺留分は権利のある者が行使する必要があります。
民法改正で、「遺留分減殺請求権」は「遺留分侵害額請求権」になりました。
つまり、物件の返還から金銭での解決に変わりました。
令和元年7月1日移行に発生した相続から適用されます。
まずは、内容証明郵便や訴訟提起など、意思表示の到達が確認できる方法で請求します。
家事調停の申し立ても可能です。
「遺留分の侵害額の請求書」
「遺留分の侵害による侵害額請求の調停申立書」
まずはお問合せください
蔓延防止措置が適用されました。ワクチンまで我慢ですね。池江さんの頑張りは、本当に感動しますね。
今回は、遺産分割に影響を与える「特別受益・寄与分・遺留分」についておわかりいただけたと思います。
遺産分割協議書の作成、法定相続情報一覧図の作成は当事務所にお任せください。
いずれにしましても、不安な状況が続くなかで準備が欠かせないようです。
まずはお問合せください。より良い人生のために、相続・終活のお手伝いをいたします。