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1日100万回接種へ
遺言信託について

2021年5月28日、コロナのワクチン接種について、菅首相は「65歳以上の高齢者接種の7月末完了」の実現に向け、総力戦で臨んでいて、1日100万回の目標も「見えてきた」としています。職場や大学などの場所の拡大、潜在看護師などの打ち手の拡大などやっと具体化してるようです。もっと早く予想できたはずです。世界各国の状況をみると、お国ぶりがみえてきます。規制が多く縦割の日本の弱点が露呈しましたね。インド株の脅威が迫ってますので日本らしく勤勉に接種率をあげてほしいです。

川崎市でも始まり、わたしにも接種券が届きました、6月5日から予約開始です。

法制度の動きとしては、まず、わいせつ教員対策法が28日成立しました。わいせつ行為で懲戒免職となった教員に対する免許再取得の拒絶権が教育委員会に与えられます。遅い感じもします。また、土地規制法案が衆議院の委員会で可決されました。重要施設の周囲1キロなどを注視区域に指定し、不適切利用の中止勧告・命令ができるようにするももです。成立すると、不動産の重要事項説明のチェックポイントが増えそうです。LGBT法案は提出断念だそうです。改正動物愛護法は6月1日から施行です。従業員一人あたりの飼育数の上限規制が本格適用となり、生後56日規制も実施されます。悪質な業者は排除したいですね。

今回は、遺言事項に続いて、遺言信託について考えてみようと思います。

目次

遺言信託

今回は、遺言事項に続いて、遺言信託について考えます。
遺言について調べていると、遺言信託という言葉がよく出てきます。
いったいどういう意味でしょうか?
信託とは、「様々な手続きや決定を、個々の契約に依らず包括的に信用する他者に委託すること」です。委託者は受託者に対して、自己の財産権の移転その他の処分をし、受託者が信託目的に従って、受益者のために信託財産の管理・処分を行います。通常は、自分がある人に利益などを与えたいときに、誰かに頼んでやってもらうというのが信託を利用する事例です。
信託については、信託法第2条に定められています。
第2条
1.この法律において「信託」とは、次条各号に掲げる方法のいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。
2.この法律において「信託行為」とは、次の各号に掲げる信託の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。
一 次条第一号に掲げる方法による信託 同号の信託契約
二 次条第二号に掲げる方法による信託 同号の遺言
三 次条第三号に掲げる方法による信託 同号の書面又は電磁的記録(同号に規定する電磁的記録をいう。)によってする意思表示
(以下省略)

では、「遺言信託」とはなんでしょうか?
「遺言信託」には、二つの意味があり、混乱しがちです。

ひとつは、遺言で行う信託です。
もうひとつは、信託銀行等のサービス商品としての「遺言信託」です。

遺言で遺言信託する方法は?

信託は、生前信託と遺言信託があります。
遺言で信託を設定すると、被相続人の死亡により受託者にその信託財産の管理処分権が移転し、信託が開始されます。

遺言信託の要件は、①信託目的、②信託財産、③受益者、④受託者、⑤期間です。
受益者の定めのない「目的信託」は、一定の条件下で可能です。

遺産分割との関係は、信託財産は相続開始とともに受託者に帰属するため、遺産分割の対象になりません。遺留分の問題はのこります。

どのような場合に遺言信託を利用できますか?

たとえば、死後に家族の生活費等の支払を確保する場合、墓地の管理費・供養費の支払を継続する場合、福祉・教育等の公益の目的の場合がかんがえられます。

自筆証書遺言が遺言信託と認められる場合は?

たとえば、自筆証書遺言に「株券を〇〇にあげる。株券は弁護士△△が信託管理し、株券の権利行使は、弁護士が行う」というような場合です。
遺贈や始期付遺贈なのか、遺言信託なのかの解釈の問題となります。
遺言書の解釈は遺言書の記載のみならず、その他一切の事情を斟酌するという判例があります。例のような場合は、遺言信託と解されます。


信託銀行が行う遺言信託とは?

信託銀行の「遺言信託」は、遺言で行う「遺言信託」とは異なるものです。
①遺言書の作成支援、②遺言書の保管、③遺言の執行等をパッケージにした商品です。
高額なのが欠点です。


遺言信託の受託者は誰?

信託業とは、「信託の引受けを行う営業」と定義され、これを営む場合には内閣総理大臣の免許を受ける必要があります。ただし、営もうとする信託業が管理型信託業である場合には、内閣総理大臣の登録(3年ごとの更新制)を受けて営むことができます。
信託銀行でなく、信託業を営む信託会社というものがあります。
信託財産の保全を図るといういみでは、信託会社は信用がありますから、活用する価値はあります。投資信託が有名です。
行政書士が、「死後事務委任契約」で受任者となり、執行を保全するために、信託会社を利用する例があります。こうすると受任者が使い込むというリスクななくなります。

信託会社や信託銀行以外の者が受託者となって委託者と信託契約を結ぶことを「民事信託」といいます。これに対して、従来の信託銀行等が受託者となる信託のことを商事信託です。

商事信託の場合、信託期間中は信託銀行等に信託報酬を支払う必要があるため、信託する財産がある程度大きくなければメリットがありませんでした。

民事信託は家族や親族を受託者とすることができます。信託報酬が発生しないようにできるため、少額の財産しかない場合や、特定の財産だけ信託を行うことも可能です。
民事信託の中でも、家族や親族を受託者として財産の管理を任せることを家族信託といいます。

遺言の作成を弁護士や行政書士に依頼することは可能?

可能です。
ただし、弁護士法との関係で、行政書士は、法的な紛争の交渉ができません。
しかし、遺言書の作成の支援そのものには法的な資格は必要ありません。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士法第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

遺言代用信託とは?

遺言代用信託とは、委託者が自身の財産を信託して、生存中は本人を受益者とし、相続開始後は、本人の配偶者や子などを受益者と定めることによって、本人が亡くなった後における財産の分配を信託によって実現しようとするものです。遺言の代用となるためこの名称で呼ばれています。
遺言の方式に従う必要がありませんし、生前に契約の効力が発生する点で確実に実施できるといえます。

(委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例)
信託法第九十条 次の各号に掲げる信託においては、当該各号の委託者は、受益者を変更する権利を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
一 委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託
二 委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託
2 前項第二号の受益者は、同号の委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

自己信託により遺言代用信託は可能?

信託の方法は3つあります。
①信託契約
②遺言信託
③自己信託証書等の作成

自己信託は、「委託者=受託者」であり、自分一人で特定の財産を信託財産とすることを宣言するだけで信託を成立させるため、要件を厳格化し公正証書等により作成しなければ効力が発生しないとされています(信託法4条3項)。

自己信託による遺言代用信託も可能です。

まずはお問合せください

大規模接種も始まり、1日100万回接種の目標も「見えてきた」としています。日本らしく勤勉に接種率をあげてほしいです。
今回は、遺言信託についておわかりいただけたと思います。
自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の作成、遺産分割協議書の作成、法定相続情報一覧図の作成、遺言信託は当事務所にお任せください。

いずれにしましても、不安な状況が続くなかで準備が欠かせないようです。

まずはお問合せください。より良い人生のために、相続・終活のお手伝いをいたします。

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