緊急事態宣言下でいよいよ五輪
死因贈与契約
2021年7月23日、東京オリンピックは開会式が行われ、17日間にわたる大会が開幕します。(8月8日まで、33競技339種目。パラは8/24~9/5)新型コロナで1年延期され、ほとんどの競技が無観客で行われるなど、極めて異例な形です。大会関係者のなかに、すでに感染者が出たり、逮捕者が出たり、行方不明者が出たりで大忙しです。全国から警察官も動員されます。渋滞などで、生活にも影響が出そうです。無観客は選手にかわいそうですが、この世論・感染拡大状況では難しいですね。なんとか、日本国民の力を見せて、すばらしい大会となってほしいものです。
首相は17日、新型コロナウイルスのワクチンについて、月内に1回目の接種を終える国民が5割に達するとの見通しを示しました。15日現在で少なくとも1回接種した国民は全体の32・2%。首相はまた、希望者全員が2回目の接種を終える時期については「10月から11月までの早い時期」と述べました。
接種が進み、日本でも制限緩和が議論されてきています。いままでの緊急事態の宣言、解除と緩和の繰り返しとは異なり、ワクチン接種が進んでいる状況での制限緩和策の検討になります。接種が進んでいる諸外国では、一旦緩和したあとに、感染拡大が必ず起こっています。未接種者がいるのと、デルタ株の影響と言われます。こういう事例を踏まえて慎重に議論してほしいですね。
スポーツ界では、アメリカの大谷が毎日話題を提供していますが、スーパースターとはいえ、前田、菊池、澤村もとりあげてほしいという上原の気持ちがわかりますね。NHKもMLBに費やす時間をJリーグや欧州サッカーにお願いしたいです。三笘や田中碧の活躍をNHKで見る時代がくるといいですね。それにしても、大谷は野球界を超えて話題になってるようですごいですね。
今回は、遺言書の撤回・変更に続いて、死因贈与契約について考えてみようと思います。
目次
- ○ 死因贈与契約
- ・死因贈与契約と遺贈との意味の違いは?
- ・死因贈与契約と遺贈の共通点は?
- ・死因贈与契約と遺贈の異なる点は?
- ・自筆証書遺言としては無効になったが死因贈与契約として有効なことは?
- ・負担付死因贈与契約と抵触する遺言がある場合は?
- ○ まずはお問合せください
死因贈与契約
今回は、遺言書の撤回・変更に続き死因贈与契約について考えます。
死因とは死亡を原因とすることです。贈与はある財産を無償で契約の相手方に与える行為です。死因贈与契約は、死亡で効力が生じる贈与契約ということになります。
死因贈与契約と遺贈との意味の違いは?
遺贈(いぞう)とは、遺言により誰かに遺言者の財産を無償で譲ることです。遺贈は単独行為となります。
単独行為とは、1つの意思表示により成立する法律行為です。贈る相手が承諾しなくても、法律行為としては成立します。
死因贈与契約は、契約ですから、贈る相手との意思が合致して成立します。
遺贈と死因贈与契約で、もっとも異なるのが契約性ということになります。
多くの点で類似するため、遺贈の規定が準用されます。
どの規定が準用されるかは、民法に規定がなく、解釈によります。
(死因贈与)
第554条
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
死因贈与契約と遺贈の共通点は?
◆受遺者の死亡(994①)
遺言の効力が発生する前に、受遺者が死亡した場合、遺言は効力を生じません。
死因贈与契約も相手方が死亡すれば、効力を失うとする裁判例(東京高裁平15.5.28判決)と、失わないとする裁判例(京都地裁平20.2.7判決)があります。
◆撤回(1022,1023)
贈与者の意思を尊重すべきことから、遺贈と同様に死因贈与契約も自由に撤回できると解釈されています。
最判昭47.5.25
死因贈与については、遺言の取消に関する民法1022条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。けだし、死因贈与は贈与者の死亡によって贈与の効力が生ずるものであるが、かかる贈与者の死後の財産に関する処分については、遺贈と同様、贈与者の最終意思を尊重し、これによって決するのを相当とするからである。
ただし、負担付では問題です。
負担を履行したあとの撤回を否定した判例です。
最判昭57.4.30
負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合には、右契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、契約上の利害関係者間の身分関係その他の生活関係等に照らし右契約の全部又は一部を取り消すことがやむをえないと認められる特段の事情がない限り、民法1022条、1023条の各規定は準用されない。
◆遺言執行(1010以下)
検認の規定(1004)は準用されません。
遺言執行者の選任の規定(1010以下)は裁判例が分かれます。
準用されると解釈することが多いようです。
たとえば、不動産の死因贈与契約に関して執行者を指定しておけば、死因贈与執行者が選任され、受贈者は、執行者を登記義務者として、共同で所有権移転登記手続の申請をすることができることになります。執行者の指定がない場合は、死因贈与の執行では、贈与者の相続人全員の協力が必要になります。
◆遺留分侵害額請求(1044)
遺贈と同じく、死因贈与も遺留分侵害額請求の対象となります。
死因贈与契約と遺贈の異なる点は?
性質に反することは適用されません。
◆方式(960)
遺贈は遺言の方式ですが、死因贈与契約は遺言による必要がありません。
◆能力(961)
遺言は15歳で単独で可能ですが、死因贈与契約では、未成年者には親権者の同意が必要です。
◆承認・放棄(915以下)
死因贈与契約では、受贈者の意思が合致していますので、承認・放棄は適用されません。
◆書面によらない贈与(550)
書面によらない遺贈はありえませんが、死因贈与契約は可能です。
◆取消・無効
死因贈与契約は、契約ですので、契約に適用される無効・取消事由は適用されます。
不倫関係を継続するための死因贈与契約を公序良俗違反として、無効とする例があります。これは遺贈と同じです。
自筆証書遺言としては無効になったが死因贈与契約として有効なことは?
遺言の方式に違反があり、遺言が無効とされても、遺言者の真意が現れていると解釈し、死因贈与契約の申込みと受贈者の受諾が解釈されれば、有効となるとする裁判例があります。無効行為の転換の例です。
受贈者が「遺言書」の存在を贈与者の死亡まで知らなかった事案では、承諾がないことにより死因贈与契約の成立は否定されます(仙台地判H4.3.26判時1445号165頁)。
逆に、生前に受贈者が「遺言書」の交付を受けていれば、承諾をしたものと認められる事例があります。
負担付死因贈与契約と抵触する遺言がある場合は?
例えば、同居することを条件に死因贈与契約を結び、数年後に同居してくれた受贈者とは別人に全ての財産を遺贈する遺言を書いた場合です。
負担付死因贈与契約の撤回の問題となります。
負担の全部またはこれに類する程度の履行をした場合、撤回は認められないと解釈されています。数年同居したら十分です。
まずはお問合せください
オリンピックは17日間にわたる大会が開幕します。無観客は選手にかわいそうですが、日本国民の力を見せて、すばらしい大会となってほしいものです。今回は、死因贈与契約についておわかりいただけたと思います。
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いずれにしましても、不安な状況が続くなかで準備が欠かせないようです。
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